言わずと知れたバーレスクの女王、ディタ・フォン・ティースが10月26日(現地時間)、新作の「A Jubilant Revue」を初披露した。ラスベガスを象徴するホテルのひとつ、ホースシュー・ラスベガスのジュビリー・シアターを舞台に行われるこの75分間のショーは、1981年から2016年にかけてストリップ通りで上演された最も有名なショーガールのショー、「Jubilee!」へのスタイリッシュなオマージュである。自身も大ファンだったというフォン・ティースは、ラスベガスを訪れるたびに観ていたそうだ。「羽やラインストーンをふんだんに使った衣装──その圧倒的な華々しさが大好きでした。コスチュームだけで、1200万ドル(約12億円)に相当したんですよ」
「Jubilee!」にオマージュを捧げるため、フォン・ティースはオリジナルのショーガールのコスチュームやセットの一部を、まったく新しい振り付けやナンバー、デザインとともに取り入れている。中でも、ボブ・マッキーとピート・メネフィーによる伝説の衣装はジュビリー・シアターで眠っていたものだそうで、「再びお披露目するいい機会だと思った」そうだ。
そこで彼女は、自分らしさを演出するためにスワロフスキー(SWAROVSKI)のクリスタルなど、センシュアルなディテールを加えた。「私はショーガール(の典型)には当てはまりません」とフォン・ティース。「この10年間、ショーガールには(こうあるべきだという)多くのルールが課せられていました。私はそういったものをなくし、通常はとても背が高くて細い女性だけのものだったコスチュームを、違う形でお見せできることに胸を高鳴らせています」
クリスチャン ルブタンやジェニー・パッカムなど、長年のコラボレーターらが衣装をデザイン
今回のグラマラスなワードローブに貢献したのは、フォン・ティースの親しい協力者や友人たち。特に目を引くのは、キャサリン・ディリッシュがフォン・ティースのマティーニグラス ショーのために作った、スワロフスキーのファンシーカット・クリスタルが眩い輝きを放つボディスーツだ。「彼女はこの23年間ずっと私を支えてきてくれたコラボレーターで、スワロフスキーのクリスタルを使った素晴らしいルックを作ってくれる」とフォン・ティースは言う。
そのほかには、ジェニー・パッカム(JENNY PACKHAM)のビーズで飾った2つのルックも。一方、靴はすべて彼女の友人でもあるクリスチャン ルブタン(CHRISTIAN LOUBOUTIN)によるカスタムヒール。ルブタンとは「いつもアイデアを出し合っている」そうで、彼女の足の形に沿って作られた特別な一足があることも教えてくれた。
贅を尽くしたワードローブの持ち主として知られるフォン・ティースだが、今回はレジデンスプログラムということもあり、用意したすべてのコスチュームを余すことなく纏うことができた。いつもは世界中をまわることが多いが故に、「ひとつの場所に滞在できるのは素晴らしいこと。毎晩荷物をまとめて、次の都市に移動しなくていいのですから」と話す。それでも、演目ごとに素早く着替えられる服であると思うだろうが、フォン・ティースはファッションに関して実用性を考慮したことはないと認める。「実際、私はプラクティカルなことはまったく考えていません」と彼女は笑う。「私はいつも、現実世界では見ることのないような精美なものにこだわっているのです」
グラマー、官能性、エロティシズムを讃え、堂々たる姿勢を貫くこと
2024年春まで上演されるこのショーにかけるフォン・ティースの願いは、観る人すべてに喜びとファンタジーを届けること。「こんなショーはラスベガスにはありません。多くの人に観てもらいたいと思っています。心から楽しみ、インスパイアされてほしい」。また、バーレスクやショーガールのスタイルとは何か、あるいは「こうあるべき」という固定観念を変えたいとも思っているという。「私の目標は、常に人々の考えを変えること。ストリップショーにはネガティブなイメージがあるから」とフォン・ティースは言う。「だからと言って、クリーンなイメージを植え付けようとは思っていません。私はストリップが大好きです。セクシーで軽薄なショーは、人々にインスピレーションを与えることができるのです。特に、多様な身体美や肌の色があるとき。(ストリップとは)グラマー、官能性、エロティシズムを讃え、それらに対して堂々たる姿勢でいることなのです」
Text: Christian Allaire Adaptation: Motoko Fujita
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